さて、今回のアラン戦前編は相当白熱したバトルとなっていますが、今回の特集記事は少しそこから離れてセレナとマノン、2人のヒロインの話をしたいと思います。
良くセレナはサトシと、マノンはアランとセットにして語られる事が多いわけですが、2人には共通点がありながらも結構違う所があるんですよ。
いや、正確に言えばスタートは同じでも途中から違えてしまったと言うのが正しいでしょうか。

では、その辺りについての考察を続きからどうぞ。

ではまずは共通点から書いていきますが、やはり何と言ってもどちらも初心者トレーナーということですね。
恐らく年齢の違いはあるでしょうけど、両者共最初のポケモンを持ってXYから旅立ったことには変わりありません。

勿論それに伴ってどちらも最初は未熟ですけどね…
特にセレナはドジばかりしながらも有能なハリさんがいたのと比べると、野宿は最初はダメ、母親のサキには逆らう場面もあるなど結構な欠点があった珍しいヒロインとして扱われていました。
その事が20話台でのセレナ批判に繋がった、というのはもう周知の事実としてありますね?
迷いの森回からこのアニポケを見られた方にはこのセレナの初心者トレーナーぶりには驚かれる方もいると思います。

そして二つ目の共通点が二人共両者ヒーロー側のことを強く想っているという事です。
ヒーローというのは勿論、セレナならサトシ、マノンならアランですね。
セレナに関してはもう言わずもがなで、サトシの事を幼少期に好きになってからずっとサトシのことを想い続けてここまでの旅を続けているわけです。
しかもその想いというのはエイセツ三部作でのサトシを凄く心配するセレナの様子や、一連のサトセレ描写を見てもらえれば一目瞭然、正に俗な言い方をすると嫁と言える程のサトシに対しての気遣いや感情の揺れ動きが良く表されています。

そしてマノンの方はアランと一緒にカラス地方で出会って旅を続けてきて、その中で積み重ねていった想いがそこにはあります。
アランの為を想いメガレックウザとバトルしないように言い、アランの為を思いリーグが終わる前までアランと顔すら合わせない決意を固める…なんともアラン優先の健気な子だというのが分かってもらえると思います。
それこそが離れていたとしてもマノンがずっとアランの想い続けている一種の理由かもしれません。要は離れている時間が長いほど、地球上のどこかにきちんとアランは存在している…という考えの元になっているのでしょう。

マノンの年齢を考えたらもう少し悲しい気持ちになってもおかしくはないですが…それでもアランの置かれている状況を理解して、自分がどのような行動をとればいいのか、というのをきちんと見極めているわけですから、本当に凄い子ですよ…
この子がアランのパートナーでなければここまでのドラマは作る事ができていないだろうな、と感じる程にはあります。
確かに少しドジな所はありますけど、そのことが更にアランの事を考えている時との良いギャップになりますから、ヒロインとしてはセレナと同等の力をきちんと持っていると思います。

と、このように両者ヒーロー側への想いが強くあって、それに沿って動いてしまう事も往々にしてあるのが分かって、二人の良い意味でのヒーローへの真っ直ぐさはこちらとしても凄いものがあると思うばかりです。
ですが、最初の内はスタートラインは同じだったセレナとマノンが、いつからこんなにも違ったものになってしまったのでしょうか?
その辺りをここからはセレナとマノンの違いと共に書いていきたいと思います。

まずは明らかにですがセレナの方がマノンよりも成長しているということです。

勿論肉体的な意味ではなく精神的な意味ですが…この事はセレナの今までの成長ぶりを見てもらえれば分かると思います。
最初は上に書いたような未熟な部分が相当表れていて、サトシが好きな女の子というイメージしかなかったセレナが、
夢を見据えるようにようになって面出さんを中心としたセレナ回の中で、努力と挫折が思いっきり詰め込まれてセレナが諦めない気持ちを持つようになったり、

マスタークラスでも立派に戦ったりとセレナの独り立ち、という意味でも素晴らしい形で成長を遂げたな、と感じたところでした。
その意味でも、本当にゼロから始まったヒロインがここまで来たか、と感慨深い気持ちにセレナはさせてくれたんですよ。
だからこそこのブログ内でもそうですけど、他においても人気なのでしょう。

それに対してマノンですが、確かにメガレックウザを見て恐怖心を感じて「強くなる事」に対して疑問に思ったり、倒れたアランを助けたりと成長している部分は存在するのですが、その成長部分はアランに対してのみで、トレーナーとしてという観点で見たらあまり成長していないんですよ。
あったとすれば最序盤のフラベベを捕まえる時にアランに教わっていた事くらいなものですからね、そこからはひたすら「アランのヒロイン」という立場を崩さなかったと思います。
そこはそこでまだ良いんですけど、やはりそれによって起こる事というのは成長しない分どうしても視野が狭くなってしまうという事なんです。

セレナの場合は旅の中でサトシやシトロン、ユリーカの事を考えたりしながら周りに気を配り、マノンに対しても距離を近くしたりきちんと話を聴いたりしてあげていて、素晴らしいお姉さん像を作り上げていました。
それに対してマノンはいつも守ってくれるアランと2人での旅でしたから、その分成長できる部分はあまりなかったのだろうと思うんですよ。
子育てで言う所の、親がなんでもやってあげると子供が成長しないというのと同じ話です、セレナの場合は自分で決めると言った瞬間に過保護は一切しませんでしたから。(7話、39話参照)
その意味でXYパーティは「助け合う」という事の本当の意味を知っていると思わされますね。

そして二つ目はヒーローに対しての認識の段階に対してのマノンの遅れです。
これというのはまずヒーローに対しての認識は3段階存在する、という僕の持論から書く必要があります。

まず一段階目はヒーローに対して格好良いと良い部分を見つけ出して憧れるというところです。
やはり誰かを好きになる理由の1番に挙げられるのが利点部分を凄く良く捉えている事がありますから、無論マノンもセレナもそれに当てはまっているわけです。
マノンはリザードンのバトルを見てアランを「理想のトレーナー」と捉えていつか自分もメガシンカしてバトルしたいと意気込む程アランに惹かれていた所はありましたし、
セレナの場合はサトシに小さい頃に「最後まで諦めるな!」と言われて助けてもらった事によって好きになって、39話の部分で夢を目指すものとしての憧れを完全に持つようになった事からもこの「憧れ」の要素は大事になってくるというわけです。
決して憧れは恋愛面で使わない言葉ではないという事ですね。

そして二段階目は相手と深く接するうちに弱点のような部分も見えてしまって心配する気持ちが募る時もあるという時です。
これに関してはセレナのサトシへの心配に関しての特集記事にも書いているので詳しくは書きませんが、
要はサトシやアランといえどもその憧れるべき良い所ばかりではなく、どうしても人間らしい悪い面だったりが存在します。
その部分にきちんと触れたからこそ、その部分が出てしまった時には本当に自分の事のように心配してくれるある種献身的なヒロインとなるわけです。

この部分はセレナでしたらエイセツ三部作のエイセツジム戦第1戦終了後のあの心配そうな顔だったり、古くは24話のショウヨウジム戦前での祈るシーンも、一段階でのただ憧れるだけだったセレナの姿とはまた違う姿でしたから。
それだけサトシの事を本当に真近で見る中でいろんな姿を見てきて、だからこそ心配する部分も見られるのだな、と感じた所であります。

そしてこちらはマノンも同様で、途方もない「最強」に突き進む姿を心配してアランが死ぬくらいだったら強くならなくて良い!とまで言うほどアランを心配していましたし、
アランを助けに行った時もアランが降り立った事に本当に心配した結果、体が先に動いていたというような感じでの決死の助けでしたから、ヒロインとしてアランの挙動や思いを心配している節がきちんとあるわけですから、第二段階まではきちんとクリアしているわけですよ。

問題はその次の第三段階で、ヒーローがどんな状況に置かれたとしても、決して怯える事なく積極的に、面と向かってそのヒーローと向き合う事ができるという事なんですよ。
第二段階の心配する、という気持ちというのは「想い」としては本当に大事な要素なわけですけど、心配するだけでは例え相手にその気持ちを吐露したとしても自分の中だけで完結してしまう可能性があるんですよ。

良く言われるフレーズに「自分はその人の事をこんなにも心配してあげているのに…」という言葉がありますけど、この言葉がは取りようによっては自己完結している気持ちを押し付けているだけ、とも他意はなかったにしても思われる可能性があるんですよ。
ですからその自己完結してしまっている想いを外に打ち出して積極的に、そして真正面から向き合う気持ち…その事がヒーローに対しての想いを表す上で僕は最終系なものであると僕は捉えています。
それであれば相手の気持ちも汲み取りながら、自分のヒーローを想う気持ちを伝え、相互関係を築いて結果として良い関係に繋がると思いますから。要は完全に独りよがりになる芽を潰す、ということです。

この部分はセレナはきちんと実現していて、マスタークラスでヤシオさんに言われた事、そしてサトシセレナ回での男装を通じて「与える者」としての力の過程を表した後に、
その過程を迷いの森回という形で、サトシの挫折している想いを聴いてあげようとしたり、結果的に怒ってしまいましたがサトシがそれによって本来の自分を思い出せた、という意味で真正面から向き合っての相互関係は成立していますから、結果オーライとはいえ第三段階はほぼ完璧な形で実現できたわけです。
後はセレナが理性的な形で「与える者」になる事ができれば完璧ですが…そこは後々出てくることでしょう。

なんですが、マノンの場合はアランに対して凄く怒るという事など積極的に完全に接している感じはなく、言ったとしても心配する気持ちを遠慮気味に語ってはアランに一蹴されている、というイメージがあるのでヒーローへの想いが第二段階で止まっているんです。
ここが結構マノンの立ち位置的にキツい所でして、マノンがその第三段階を打ち出していれば、アランもここまでにならなかったとは思うんです。
とはいえ、マノンの一番目に書いたアランが過保護にしたせいで、あと一歩が踏み出せずあまりトレーナーとしても成長していないという状況を生み出してしまった関係上、マノンにそこまで求めるのは無理というものです。

と、いうのも、この事はセレナとの違う部分の三つ目であるマノンはセレナと違って「ヒーローの本質」を見抜くことが出来なかった事からも分かる話なんですよ。
この部分は今回のアラン戦においてセレナが自信を持った顔でサトシの本質を語っているのに対して、マノンがある意味、純粋かつ本質のアランの笑顔を見たことがない、という事からもすぐ分かる話です。
だからこそセレナはサトシを挫折の波から迷いの森回冒頭で脱出させて見せたわけですから、凄いものですよね。
かといって上にも書いたように、マノンが悪いわけでは決してなくて、大元の原因はサトシとアランのヒロインへの接し方の違いなんですよ。

サトシは基本的に裏がない人間ですから、セレナのことも素直に応援できて、素直な形で接している分セレナが成長できる余地はありましたし、セレナ自身も自意識過剰的な意味ではなくサトシから一定数思われている部分はあるという無意識な自覚があるということができます。
その辺りはグータッチだったり「セレナのおかげで目を覚ました」という言葉を聞いた時の慈愛の表情からも分かってもらえるかと思います。(ちなみにここで「想い」ではなく「思い」にしてあるのは恋愛的な意味だけではない、ということを表しています)

なんですがアランは、最初のマノンへの対応自体が「面倒臭いが、ついてくるなら勝手にしろ」というスタンスでしたし、それまで抱きしめ返したりとマノンへの思いは示唆してきてはいましたが、「お前がいると強くなれないんだ!」の言葉でマノンにとってはアランに突き放された気持ちになった部分もあったでしょうから、アランが最早マノンの事を第一優先に置いている事にマノン自身はあまり気づいていない可能性が高いと言えるわけです。
ここがアランとマノンの関係性の最大の問題点なんですよね、そこですれ違っている時点でアランの不器用さやサトシに精神面で劣っている部分は顕著に表れていると言って良いです。
何故なら、きちんとその気持ちが伝わっていなければ、アランのやってきた事は完全に無意味になるからです。

実際に集めたメガシンカエネルギーが悪に使われることで、完全に無意味になるプラフが張られていると言っても過言ではありませんから。
その辺りはマノンのスタンスが「アランに嫌われていようとも私は…!」という遠慮にも近いスタンスだったアラン戦前哨回からも分かる話ではありますから…不器用さや突き放しとは恐ろしいものです。
この事からも上に書いた第三段階の相互関係の構築も、そもそもすれ違いしている段階で成立していないと言える、というわけです。

ですから、スタート地点は確かに同じだったセレナとマノンは、3つの違う部分を考慮すると今ではセレナとマノンの差は歴然と言えるわけです。
決してマノンが全て悪いというわけではないんですけどね…マノンも違う面から見たら強い女の子ですし。
ですが感想記事の後編のコメントの一つのこのフレーズが、ある意味全てと言えるのかもしれません。

張り付いたピカチュウを振り落とすよう指示するアラン。そうやって色々なものを切り捨ててきてしまったんでしょうね。その中には大切なものもあったでしょうに。

…結構辛辣なコメントではありますが、これこそがアランとマノンのある種歪んだ関係性を表していると言えるでしょう。(勝手に引用してすみません、後でコメント返信の時に謝罪しておきます)

そして最後はツイートの中で見つけたアランとマノンの関係性を表すもう一つの考え方を引用してこの記事は終わりたいと思います。(こちらは引用許可をもらっています、ちなみに女性の方のツイートです)
本当にね…この部分がいつ改善されることになるか、サトシとセレナの関係性から分かることがあるのか、というところが本当に楽しみなんですよ!
ここは本当に掘り下げて欲しいところです!
次回はバトルの様子を見てのアランとサトシの心境について書いていきたいと思います。
お楽しみに。

VIP席で分厚いガラスの中で守られてるマノンちゃんて、アランがそうしたいそのものなんだろーなあ…、自分を見てて欲しい、でも何の危険もないところで、誰の手も届かないところ。
自分が信じて置いてきたそこで危険があるなんて思わないんだ。傍で守ろうという意識もない。頑なに、安全なところにいろと置いてくる男の子は、弱い自分に気付きたくないのね。安全なところを信じ込んで、守ると決意できるほどの余裕もない。

強い女の子なのにね、そうか、でもマノンにもないんだ。なら強くあろう、強くなれないんだと言う彼に、甘ったれるんじゃないと言うだけの自信が。
私のせいにしないで、と叱咤出来ていたら。照れくさそうに話してくれた彼女のように、関係ないと捨て置かれてもだからなんだしっかりしなさいと彼に言えるほどの強さを持てたら。私は今彼の隣で笑っていられたんだろうか。