さて、今回は「僕ヤバ」の感想を書いていきたいと思います。
それでは続きからどうぞ。

第25話(最終回)「僕と私の恋心」
脚本:花田十輝/絵コンテ:大地丙太郎/演出:江口大輔,白幡良志之/作画監督:岡田絵里香,尾津鉄平,広中千恵美,他9名

コンプレックスを抱えながらも、そんな自分に広い世界を見せてくれた君が好き…そんな2人の気持ちを最高潮に示した告白及び最終回だったと思います。

というわけで、原作ではオーディションに行ってから一旦旅館戻る展開があったので女子部屋での騒動があったのを、今回の最初でその部分を消化した上できっちりオーディションに向かう事で中途半端にならずに済んだのは良い改変だったと思います。

そして市川が原作以上に山田と市川の差にコンプレックスを抱いている描写があったのを、稲荷神社で山田が市川の事を考えながらもオーディションについて考えていると明かしてくれた事で同じ立ち位置で物を見ていると安心したからこそ、そのコンプレックスを乗り越えて世界を見せてくれた山田という1女の子を好きになった、という部分が強調されているように思いました。
回想の連続に、これまで学校や交友関係が上手く行かなかった旨の台詞の追加、そしてそれらがあったからこそ山田といるとこれまで送れていなかった日常が特別な物に思えるようになった事が強調されているので、そこはアニメならではの描写だなと思いました。(漫画だとページやコマの関係で回想はそこまで出す事が出来ないので)

そして市川がお菓子を渡す描写だけではなく、小林が「君オク12巻」を渡す所もまた良かったですね。
アニオリですけれども、班のリーダーだからこその行動、山田がオーディションを受けると市川以外で知っていた事、何より山田の日常が明るくなったことを象徴する場面でもあったわけなので、この後の山田の告白の根拠の補強になっていたと思います。
原作で旅館に帰ったのは向こうと連絡を取った結果大丈夫になったからでしたが、今回は山田の意思が両親に伝わってそこから先生に連絡がいったという形になっていて、そこも原作と違う所で周りの人の助けがあって山田の行動がある、というロジカルを示してくれたと思います。

そして図書室での山田の告白ですけど、ちゃんと原作では描き切れなかった市川が山田と共に過ごした場所を色々回ってここまで辿り着いたのを場面として見せてくれたのは良かったですね。
その日々を通じて色々な思い出を紡いできて、でも原点はこの図書館、というエモーショナルな流れに通じていたと思うので。
そこからの山田の告白も市川といたから元々自己肯定感が低かった自分を好きになれた、と正に市川と同じ動機なのが似た者同士、というのを感じさせてくれましたし、
そこから市川の告白の時に「僕と」を出して、この山田の告白のタイミングで「私の」「恋心」としっかり対にさせてきたのが、これまでのタイトルコールの出し方から発展させた秀逸さだったと思います。
バックもこれまで黒だったのが白になっていましたし。

ここからの告白は言うまでもないですが、市川の主観視点で前髪が風で靡いて山田の顔がちゃんと見えるようになる演出は、市川が全てのキャラが消えて「うん」と本心のままに応えている描写も含めて、ここでやっと壁が完全に消えたんだなと感慨深くなりました。
すなわち立場の差を超えて付き合う事が出来たというわけなので…だからこそのタイトルコールの同時読みだったのかもしれませんね。
そしてEDが「斜陽」だったのも、始まりと終わりはここで締めるというスタッフ側の意気を感じた次第です。狙ったのかは分かりませんが、OPと最終回のコンテは大地さんでしたしね。

というわけで2クールに渡る旅路もこれにて終わりですが、いやはや流石は僕ヤバという事でアニメのリソースも凄い事になってましたね。
何とか告白に間に合うように駆け足の部分もありましたけど、花田さんが良い具合にアニオリや場面変更を加えていたおかげで無理なく進められていたのが大きかったと思います。
赤城監督もクレジットとしては1クールOPの演出のみでしたが、下支えはかなりしたと思うので、「高木さん」に次ぐ代表作に仕上がったと言ってもいいのではないか、と思える作品になっていたと思います。
何はともあれお疲れ様でした。流石に3クール目までは望まないので綺麗に締めてくれた事に感謝したいと思います。