さて、今回は「となりの妖怪さん」の感想を書いていきたいと思います。
それでは続きからどうぞ。

第9話
脚本:金春智子/絵コンテ:駒田由貴/演出:佐藤友一/作画監督:柳田幸平,小林ゆかり,冨永拓生,他3名

後悔のないように言葉を伝える、という事が最終的にハルとジローが出来なかった分、りょうと虹、睦実とジローでそれが実現できたのは文字通り「一歩」を踏み出せたのではないでしょうか。

というわけで前回で出た不穏な空気感が綺麗に1話で全解消された話となりましたね。
ここで軸になるのがおっちゃんが釣り仲間3人と釣りをしていた時に話が上がっていた竜神、というのがこのアニメの妖怪要素を活かしていて良いと思いました。最後も竜神の目覚めで締めてましたしね。
まあそれにしても竜神が目覚める時に空間に歪みが出来て川に穴ができる設定は、「冬の川は危険」という話があったけれども、本当にこの世界観は死が隣合わせだなぁ…と改めて思いました。
その穴にりょうが落ちるという危機があった中で虹の気持ち、ジローの自己犠牲部分を睦実がみんなとジローを引っ張る事でカバー、そしてその原因を作ってしまった竜神が虹に説得するという描写を全部ひっくるめて全部を解決する一打にシチュエーションがなっていたのが凄いと思ったわけです。

虹に関しては無視のような形をりょうからされていてもりょうと会いたいという気持ちを消さなかった事、医者から冷たい水に入ってはいけないと言われていたにもかかわらずりょうを助けたいと穴に飛び込んだのは純粋に良い子だな、と思いましたし、
妖怪要素としては冷たい水に入ってはいけない、というのが低体温症とかではなく河童の先祖返り→冬眠の流れで河童の特性を思い出してしまうから、というイレギュラー要素だったのが面白かったと思いました。
そこを「お前はどこから産まれてきた?」という竜神の言葉とりょうの掛け声で戻れた、というドラマも名実共に理由付けがしっかりしていたと思います。
りょうにしてもあそこで虹に謝ろう、とすぐに思えたのはこじれるタイプのラブコメをしていなくて非常に好感が持てましたし、
睦実が虹を引っ張ろうとするジローを助けに行った時に虹が落ちてしまった原因を作って怯えていた所を翻してそこに加勢する様は十分男らしいと思いましたね。
あの後病室にてどのように話してラブコメが進展したかは分かりませんが上手く行くと良いですね。

そしてジロー周りについては、ハルが死ぬ前の手紙に本当の気持ちを綴っていた事が間接的に救いになっていて良かったと思います。
ハルとしても本当はジローの言う事を信じたいけれども、それを信じて全部消えてしまった時が怖いからこそ蓋をして嘘だと思い込むようにしていた、というのが正しかったわけですね。だからこそ「私の事を忘れて」と本当に死ぬ間際に言ってしまったと…こればかりはある種逃避行動なのでかなりリアルな描写だなと思いましたね。
そこを自分にできる範囲内で助け合っていく、と睦実と約束した事、睦実から「そういう事は言う事を聞かなくていいんだよ!」とハルが手紙の中で綴っていた本当の気持ちと同じことを言われたからこそジローの自己犠牲精神が救われたのは、ハルのひ孫の睦実に段階になってやっとハルとの理想の関係に辿り着いたんだな、と感慨深くなりましたね。(ハルとの辛い思い出が小さくそしてサブリミナル的に出て、代わりに楽しい思い出が大写しになるジローのハルとの思い出を忘れたくても忘れられない演出のさせ方も良かったです)

ハル生存時からここまで分かり合えていれば…とは思いますが、それが出来なかった分今の睦実との関係性を大事に前に進んで欲しいと思います。
前に進んだからこそ、間一髪で恐らく睦実のお父さんと同じ虚数世界に巻き込まれるのを防ぐことが出来たのもやはり死と隣り合わせでありそれを回避できた睦実の成長の表していた良い場面だったと思います。
睦実にしてもジローを喪ってしまうのではないかという気持ちが強く出ていたものの、そのジローの自己犠牲ゾーンのテリトリーに入り込んだ事でおっちゃんも巻き込んでのジローとの約束までこぎつけられましたしね。今後多分お父さんとの絡みも出てくると思いますがそこでどう折り合いをつけていくか楽しみにしたいと思います。
大杉の結界も睦実のリボンの事を大切に思いながらしっかり結び直せましたし。

というわけで今回はぶちおの声の出演がないながら非常にハートフルに魅せてくれたと思います。このアニメは最終回でもないのにクライマックス感ある話がどんどん出てくるから凄い物です。
恐らく残り4分の1といった所ですが来週以降どうなるでしょうか?