さて、今回はいよいよの「つくもがみ貸します」の最終回の感想を書いていきたいと思います。
それでは続きからどうぞ。

第12話(最終回)「蘇芳」
脚本:下山健人/絵コンテ:富沢信雄/演出:むらた雅彦/作画監督:谷野美穂,高田洋一,宍戸久美子

お紅の佐太郎関係でのあの態度は、清次がいつまでも過去の事に囚われている事にやきもきしていたから…という事で良いのでしょうか?

というわけで思いの外あっさり終わったというのが第一印象でしたが、多分お紅の「男はどうしてこうも回りくどいのか」という話にまんまとこちら側も引っかかっていた、というのが本当の所でしょうね(笑)
佐太郎は蘇芳と佐太郎自身が割った香炉と、もう一つあった香炉を手に入れようと上方で成功を収めて戻ってきた、というのは中々にお紅への想いが強い、というのは感じたものの、
その理由が「江戸に残る道筋の香炉を割った事の罪滅ぼし」というのが中々に回りくどいなぁ…とは思いましたね。まるで少女漫画のキャラに出てきそうな拗らせ具合だとも思ったので。
そして清次の方も、自身で持っていた嫉妬心や劣等感から、佐太郎のお紅への本気度をお紅に説いている、というこちらも結構過去に囚われている感があったのは、最終回を見るとなるほどな、と思った次第です。

確かに蘇芳の件は佐太郎の母親である十女からの一件で覚えてはいたものの、それと佐太郎が結びつく事は無くて、どちらかと言うとそれと佐太郎を結び付けている清次にイライラしていた、というわけだったんですね。
お紅に関しては最初から清次の事を好きだった、というのは「あ、そうだったんだ」とはなりましたけれども。でも清次のこれまで数々の問題を解決した時の前向きな姿勢を見ると、気持ちとしては納得がいくようになっていたのは、ここまでの過程の良さを物語っていたと思います。
なので、佐太郎がもう一つの香炉を買った上でお紅の前に立とうとしていたのは、「清次のした事の上書き説」は、劇中での言及はなかったにしても、ありそうかな…とは思っています。それでも回りくどいかな、とは思いますけども(笑)

そしてつくもがみに関しては最終回だからと、清次やお紅との対話が遂に実現しましたね。
その前に「うさぎの一件があったから」と前置きしていたのは、浦沢脚本部分もちゃんと役に立っている、と考えると面白いな、と思ってしまいました。
にしても、唯一飛ぶことのできる野鉄の万能具合が凄かったですけどね(笑)清次が佐太郎を探しに来て後ろから殴られた際も、野鉄がお紅の所に行って有事と案内してましたから。
最後でも野鉄が勝三郎と早苗の痴話喧嘩の偵察に行かされそうになっていたので、いじられキャラとしては最後まで万能だったなとは思いました。

という、香炉の一件で40両を手に入れた事で借金は完済、勝三郎と早苗、幸之助とおはなも何だかんだで上手く行きそう(半助は若干牛歩気味の進展に溜息をついてましたけど…)という事で、綺麗に丸く収まりましたね。
最後に清次がお紅を名前で呼ぶ事ができたのは、やっとこさ劣等感を乗り越えて結ばれる事ができた、という解釈になるでしょうか。

そんな「つくもがみ貸します」の統括ですけど、江戸時代が舞台でもちゃんと押さえる所は押さえつつ、意外とキャラが少なくまとまっていた分結構見やすかったですね。
僕は結構設定やキャラを覚えるのが苦手で、江戸時代ともなると聞き慣れない言葉も出てくるので大丈夫かな…と思っていたのですが、最終2話のオールスター感に素直に心躍るくらいにはキャラに愛着を持つ事が出来たので、そこは良かったかなと思いました。
そして目的であった「真面目な浦沢脚本が見たい」という事ですが、これは「江戸紫」と「檳榔子染」で見事達成できたのでそこも良かったですね。
前者は半助の「2度の失恋」、後者は喋る無生物を多く書いてきた浦沢さんならではのつくもがみの描写の切り口、という所で目を見張るものがあったと思ったので。コナンでもこういう話を書いてくれたらこちらとしても嬉しいのですが…

というわけで2025年春クールの穴埋めとして見た旧作枠の感想でした。見て頂いた方はありがとうございました。