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さて、先日芝山監督の遺作のような形になってしまった「芝山努作品集」を購入しましたので、簡単に感想を書いていきたいと思います。
それでは続きからどうぞ。

まずはその物量ですよね。持って読んでいると重くて腕がしんどくなるレベルで、芝山監督のアニメで使っていたものが積みあがっているという事なので、これだけで偉大さが伝わってきます。
僕自身、芝山監督の作品で育った人間ではない(大山ドラ末期もほぼ記憶がない、映画は「ワンニャン」はテレビ放送された時は見てましたが、映画館で初めて見たのは「2006」)ので結構客観的にはなるのですが、それでも物理的な物量には圧倒させられました。

そして何より物凄く絵が上手いんですよね。今時の上手さ、というよりは絵からある味の凄さが相当な物になっているという感じでしょうか。
特にドラえもん映画の表紙は、作画している人が打ち合わせの時にもらうタイミングでこれを見たら、絵コンテを見る前にワクワクしそうだな、というくらい上手い表紙絵だったので、質の面でも圧倒的だったな、とは思いました。
しかもアニメ映像においてそのままの絵で採用される事がない事もあるイメージボードについても描きこみが凄くて、これがアニメに反映されない時もあって、こういう作品集でない限り出ないのが惜しいなと思うほどでした。

ですが芝山監督の良い所は、自分自身は凄く絵が上手いけれども、その才能を押し付けないことだと思うんですね。
勿論自分の範囲内の事には全力を尽くしますけど、監督など土台を支える側としてイメージボードや美術設定を提示する事はあっても、自分のコピーをしてほしい、というような感じが見えないのがまた、アニメーターの方としても凄くやりやすかったのではないかと思うんです。

この本ではデータ原口さんが最初の「芝山努の人生」と最後の「フィルモグラフィー」を担当されていて、後者は本当に芝山監督の仕事歴が全部見られるので圧倒されるのですが、
前者の締めの文章に「日本のTV制作現場の制約に向き合いながら、そこに安易に迎合せずに、かといって反旗も翻さず、常に現実的なスケジュール感とスタッフの能力を勘案しつつ、魅力的かつ合理的な作画・演出技法を実践してきた」という言葉がありますが、正にその通りだと思うわけです。

昨今、深夜アニメにおけるひたすらなクオリティの追求がインフレしているような形ですけど、全日帯アニメに最近のアニメオタクの中では触れている方の僕からしたら、芝山監督のスタンスは今の時代の中で見直されても良いのではないか、と改めて思った作品集でした。

勿論、純粋に芝山監督の凄さに圧倒されるために見るのも良いですし、いわゆる「芝山監督の作品で育ってきた方」は自分の良く見ていた作品の絵を見て楽しむのも良いと思います。
僕はドラえもんくらいしか触れた作品は無かったのですが、名実ともに芝山監督の代表作である作品なので、相当分量があって見ているだけで楽しかったです。

というわけで、簡単にではありますが「芝山努作品集」の感想でした。